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ワシントン 国守る その対価は?

2017年08月16日

 「会ったことのない人、知らない国を守るため、求めに応じて駆けつけたわれわれの子どもたちをたたえる」。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の訪米取材のため訪れたワシントンの中心部にある公園。朝鮮戦争の犠牲者を悼む19体の銅像とともに、この言葉が刻まれた石碑があった。

 文氏もここで「自由のための崇高な歩み」と書かれた花輪をささげた。別の碑には「FREEDOM IS NOT FREE」(自由はただでは得られない)との記述も。韓国からの団体旅行客は、神妙な顔でガイドの話を聞いていた。

 当地に駐在する先輩記者と食事中、韓国で米軍基地への反対運動はないのかと聞かれた。ほとんど見たことはない。朝鮮戦争などで助けられたことを強く恩義に感じているのだろう。

 その米国の元首であるトランプ大統領は、文氏との共同記者発表で「在韓米軍の公平な費用負担を」と持ち出した。「ただでは得られない」というわけなのか。背景や思惑はあろう。だが、お金にこだわるかのような態度には違和感を抱く。「求めに応じて駆けつけた」と石碑に刻まれた栄誉の方は、どうなったのだろう。(上野実輝彦)