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ワシントン ステファンはどこに

2022年04月11日

 「ステファンはいますか」。ある日、携帯電話に知らない女性から連絡があった。母親だというその女性は、息子と連絡が取れず困っている様子。残念だが自分は全く関係がなく、あなたの息子は番号を変えたのだろうと伝え、電話を切った。

 米国では間違い電話が非常に多い。携帯用も一般用も同じ市外局番で慢性的に不足気味のため、使用していない番号はすぐに誰かに使い回されるという。私の携帯電話はワシントンの市外局番「202」から始まる番号で、「ステファン」もこの周辺で暮らしていたのだろう。

 女性は何度も何度も電話をかけてきた。詳しい事情は教えてくれないが、誰かのパスポートがないという切羽詰まった状況で、どうしても急ぎ連絡を取りたいという。そのたびに「申し訳ないが、私は分からない」と説明すると、悲しそうに電話を切るが、あきらめきれないのか数日後にまたかけてくる。

 これが1年近く続いた後、電話はかかってこなくなった。だが「ステファン」はどこに行ってしまったのか。女性はどうなったのか。会ったことのない親子が心配で、着信がないかいつも気にしている。 (金杉貴雄)

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