2022年10月03日
ある夜に自宅マンションに帰宅すると、建物の外壁で配線工事をしている。見守っていた男性住民に「あなたは何階に住んでいるの?」と聞かれた。「5階です」と答えると、「いいな」とため息をつく。「7階から9階は停電しているんだよ」
なぜか分からないが、この建物では、7階から9階だけ頻繁に停電してきた。改善工事のため、この日は夕方から未明まで長時間停電するという。
見れば、電気が通じているロビーでは、数人がパソコンを開いている。テレワークが一般化した今、停電は大問題だ。知った顔もあったため、電気が通じている自室から冷えたビールを持って行った。
「ちょうど仕事が終わったから、屋上で一緒に飲もう」。停電中の別の住民も誘って飲んでいると、遠くで花火が上がった。独立記念日の7月4日が近いからだろう。停電を愚痴っていた住民2人は「停電は今日で最後だろうし、花火も見られて良かった」と気を取り直していた。めでたしめでたし。
後日、その住民から連絡が。「近日中に、今度は終日停電するって。今度こそ最後と言っているけど…」 (吉田通夫)