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マニラ 自由な問い掛け封殺

2019年05月17日

 フィリピンのニュースサイト「ラップラー」の最高経営責任者(CEO)マリア・レッサ氏が2月中旬、逮捕された。容疑は7年前に掲載した記事に対するサイバー犯罪法違反(ネットを使った中傷)だった。

 ドゥテルテ政権に批判的なラップラーは昨年来、外資規制違反や脱税の疑いをかけられ、大統領官邸に出入りできない。

 逮捕の一報を聞いた時、昨年末にレッサ氏を取材した際の言葉がよみがえった。政権からの圧力が続く理由について、彼女は答えた。「彼らは議論されるのを好まないからだ」

 看板の麻薬対策を巡り、多数の死者が出ていることなどに疑問をぶつけるラップラーは、政権には煙たい存在だ。ドゥテルテ大統領はラップラーを「フェイクニュース」と非難し、自己を正当化するが、多くの人が逮捕などを狙い撃ちと見ている。

 今回、容疑の対象となった記事の掲載時期は法律の施行前。当局は法施行後の記事の更新を適用根拠とした。レッサ氏は翌日に保釈されたが、強引な法運用と陰湿さが漂う。自由な問い掛けを封じる強権的な空気の広がりを危ぶまずにはいられない。 (北川成史)

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