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ロンドン 恐怖の先にメルヘン

2019年05月16日

 英国の車はスピードが速い。高速道路は無料で料金所がない上、一般道がすでに高速なので、乗ったことに気付きづらい。高速道の制限時速は七十マイル(約百十二キロ)だが、走行車線を百キロで走ればあおられる。追い越し車線は百四十キロ以上で流れている。かなりの緊張感だ。

 最大の恐怖は夜の田舎の一般道。外灯がなく、ライトをハイビームにしないと全く先が見えないのに、みんな時速百キロ以上でぶっ飛ばす。そんな速度は出せず、怖がっていると、ピタッと後続車に付かれ、冷や汗が止まらない。ラウンドアバウトという環状交差点で方向を変えるため、信号はなく、アクセルを踏みっぱなしで休む暇もない。

 側道で火を噴く故障車や元の色が分からないほど汚れた車もよく見る。高速道のサービスエリアには、なぜかカジノがあり、道幅はどこも狭い。恐怖や困惑続きの英国での運転だが、やめられない理由がある。

 ロンドンを離れると、緑の丘で羊が草をはみ、小さな家が並び、まるで絵本の世界が広がる。何度見ても歓声を上げてしまう。英国の底力を感じるこの美しい光景を見るため、再びハンドルを握る。 (沢田千秋)

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