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ワシントン 注文を聞かぬ理髪店

2019年06月04日

 米国生活での悩みの一つは、お気に入りの理髪店がなかなか見つからないことだ。

 こちらの理髪師は、はさみとくしで切るのではなく、電動バリカンで勢いよく刈り込む人が多い。バリカンを器用に操って整髪するため、雑誌を読んでくつろいでいると、あっという間に短くなってしまう。

 そのため、髪を切りに来ているのに「あまり切らないで」と、矛盾したようなことを繰り返し念押しする羽目になる。短髪にされてしまうのは、微妙なニュアンスを伝えきれない語学力の問題もあるだろうが、米国人の知人は「良くあることだよ」と慰めてくれた。

 あらかじめ好みの髪形を伝えたのに、いきなり後頭部を刈り上げられ、全体のバランスを取るため、丸刈りのようになってしまった経験が何度かあると言う。米国では散髪したとはっきり分かるように、ばっさり切りたがる傾向が強いようだ。

 ワシントン近郊での暮らしは3年弱になるが、思い通りの髪形になったのは、出張の際にぶらりと立ち寄ったアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの店だけ。行きつけにするにはちょっと遠すぎる。 (後藤孝好)