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米デンバー 地元紙衰退の先には

2019年06月05日

 地元紙の経営が悪化したら、地域にどんな影響があるか。リストラで記者が半減した米コロラド州の地元紙デンバー・ポストを取材し、考えさせられた。

 例えば、昨年夏にデンバーの特定の地域で多発した殺人事件。本来なら地元紙がしっかりと掘り下げるべき課題だが、ポスト紙の元社説責任者のチャック・プランケット氏は「記者が足りず、十分に取材ができなかった」と悔しがった。

 さらに「仮に取材したとしても…」と続けた。犯人の手がかりを得るため、現場周辺で粘り強い取材が必要だが「地元紙として日々いい仕事ができていないのに、果たして取材相手が記者のことを信頼して、秘密を打ち明けてくれるだろうか」。彼が寂しげにつぶやいた言葉は、記者にとってもずしりと重い。

 同紙は優れた報道に贈られるピュリツァー賞を9度も受賞した。だが、今や自前の記事が減り、中身は通信社の記事の寄せ集めの「ゴースト新聞」とやゆする専門家もいる。地元紙の衰退は、地域の問題に焦点を当て、人々の知恵を集める力を低下させる意味で、地域の損失だと痛感した。 (白石亘)

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