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韓国・高陽 サイン色紙が多い店

2019年06月26日

 友人の韓国人がソウル近郊の高陽(コヤン)市で営むフライドチキン店に行ってみると、壁にサインを書いた紙がいくつも張ってある。有名人が来たのかと尋ねると、友人は笑って答えた。「全部、友達に自分の名前を書いてもらったんだよ」

 韓国で最も多い外食店舗がチキン店。全国で3万店を超え、コンビニの数と同程度という。街を歩けば至る所にチキン店があり、赴任後の5カ月間でも、飲み会やテークアウトに加え、家にも配達してくれるので何度もお世話になった。

 友人は昨年、大手電機メーカーから脱サラして開業。「チキン店が多いのは、食べる人がたくさんいるということ。需要がなくなることはない」。たくさんは売れなくても、安定した売り上げが見込める。それがチキン店を選んだ理由だった。

 当初は1人も客が来ない日もあったが、ようやく軌道に乗り始めた。サインを張った理由は「有名人が訪れる人気店のように見えるから」。偽造ではないのだから、これも競争を勝ち抜く工夫かと納得。ならばと、草野球で使っている背番号を添え、プロ野球選手っぽく書いておいた。 (中村彰宏)