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バンコク 臆測呼ぶ連続爆弾事件

2019年11月18日

 8月8日、タイ国家警察本部が記者会見を開いた。同月1、2日、バンコクでの東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議期間中に政府庁舎付近などで発生し、4人が負傷した連続爆弾事件についてだった。

 発生から約1週間で初となる記者会見で、居並ぶ警察幹部の表情は硬い。実行グループは15人以上と明かしたが、この日までに逮捕したのは2人。さらにグループの一部は海外に逃走したというのだから、当局にとって格好の良い話ではない。

 2人はイスラム過激派のテロが頻発するタイ最南部から来たという。ただ、グループ全員が過激派と関係があるわけではなさそうだ。幹部は「政治と関連がある」との見方を示したものの、具体的な分析は避けた。

 タイは3月の総選挙を経て民政復帰したが、多数派工作の末に首相に就いたのは、5年前のクーデター以降、軍主導の暫定政権を率いたプラユット氏。民主化勢力の反発は根強い。多党連立の新政権内の権力争いが事件の背景との臆測も流れる。

 10~11月にはタイでASEAN首脳会議が開かれる。治安の動向が気にかかる日々がしばらく続きそうだ。 (北川成史)