2020年01月09日
ワイン好きと運動好きの夢を一度にかなえる催しが、フランス西部ボルドー近郊で毎秋開かれている。給水所でワインを出す「メドックマラソン」だ。35回目の今年、人生初のフルマラソンに挑戦した。
ポイヤックの街を発着点に、周辺のワイン醸造所を巡る42.195キロ。なだらかな上り下りが続くブドウ畑の間を、次のワインを目指してひたすら走る。40キロに近づくと生ガキやステーキも振る舞われる。
今年のテーマ「スーパーヒーロー」に従ってアニメや映画の主人公に仮装した参加者が、給水所に寄るたびに乾杯。生演奏に合わせて踊ったり、歌ったりとお祭り騒ぎを繰り広げる。中には、空のペットボトルにワインを入れてもらい、走りながら飲むつわものもいた。
「毎年の楽しみ」と話す参加15回目の地元男性がいれば、「走るのは嫌いだけど、ワインは好き」と笑う中国人女性や「40歳の誕生日の記念に」と言う英国人男性も。けっして体には良くないだろうが、飲んで走る理由は人それぞれ。完走した顔は皆、酔っぱらっているのか日焼けしたのか、赤く輝いていた。 (竹田佳彦)