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ベルリン 拍手のタイミングは

2020年01月22日

 ベルリン・フィルの本拠地「フィルハーモニー」で、日本の能が初めて上演された。ステージ中央に能舞台が置かれ、天井には反響板、上手側には巨大なパイプオルガン。ちょっと不思議な雰囲気だった。

 今回の公演はケルン日本文化会館設立50周年の記念事業。能舞台は40年ほど前にドイツで初めて能が上演された際に日本から取り寄せたという。以来、欧州での公演に文化会館から貸し出している。

 演目は能と狂言合わせて3つ。ステージの後ろに電光のドイツ語字幕が表示されるようになっていた。前列の席に座っていたドイツ人カップルは「ストーリーもよく分かったよ。演者の動きが独特。衣装も美しいね」と満足した様子だった。

 自分自身も本格的な能を見たのは初めて。どのタイミングで拍手したらいいのか正直、戸惑った。演目が終わると、演者はそろりそろりと舞台を後にする。最初の演目では隣の人が両手を構えたまま固まっていた。

 それでも最後は5分以上、拍手が鳴りやまなかった。アニメや漫画だけじゃない「クール・ジャパン」が、ちゃんと伝わったようだった。 (近藤晶)