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韓国・麗水 生活に根付く日本語

2020年01月23日

 韓国南部・麗水(ヨス)の食堂で取り皿を頼むと、若い従業員が「アプサラです」と言いながら持ってきてくれた。取り皿は韓国語で「アプチョプシ」のはず。アプは「前」で、チョプシが「皿」の意味だ。「アプサラ?」。この地方の方言なのかと思い聞いてみると、日本語の「皿」だという。

 韓国では日本統治時代に、日本語教育が行われた。その名残で今でも日本語でそのまま通じる言葉がいくつかある。特に南部は日本と近く、昔から交流が盛んなこともあり、日本語を流ちょうに操る高齢者も少なくない。麗水で名産のハモを食べに行くと、メニューにハングルで「ハモユビキ(湯引き)」と書いてあったのにも驚かされた。

 「うどん」や「おでん」は一般的に使われ、「爪切り」や「お盆」「袖」なども日本語で通じる。日本語の教育を受けていない若い世代では、韓国語だと思っている人も多いという。

 さらに韓国の新聞記者と話していると、「見出し」や「張り込み」など業界でよく使う言葉も耳にする。生活に溶け込んでいる日本語を見聞きするたび、日韓の結び付きを実感している。 (中村彰宏)