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英グレーズ 物流拠点で見た世界

2020年02月26日

 ロンドン近郊のグレーズで10月下旬、ベルギー発のコンテナから39人の遺体が見つかった。地元住民に取材をすると、彼らは英メディアと同じく、犠牲者は密入国を試みたのだろうと推測した。ただ、興奮状態の報道陣とは違い、事件の衝撃は大きくない様子だった。

 「以前も、窒息死した数人がコンテナで見つかったと聞いた。悲しいことだが、今回も死者は危険を承知だったはずだ」。買い物中だった男性(60)は淡々とした口調で、悲劇が繰り返されていることを語った。

 国際的な港に近く、運送会社が集積するグレーズは、英国の物流拠点の一つ。世界各地から来るコンテナには、戦禍や貧しさから逃れようとする不法移民が潜んでいることが少なくない。カフェの男性店長(30)は絶えない移民に「貧富の差が広がり続け、世界がどんどん悪くなってると実感する」という。

 取材を終え、グレーズから35キロほど離れた、職場があるロンドン中心街に戻った。世界中からの旅行者が、ブランド品の紙袋を手に行き交っていた。見慣れた光景だが、この日は、どこか浮世離れしているように感じた。 (藤沢有哉)

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