2020年02月25日
ロシア南部・北オセチア共和国の中心都市ウラジカフカスで昨年春、日本文化フェスティバルが開かれた。武道や茶道、アニメなどをテーマにした内容自体は珍しくないが、現地で経緯を聞いて驚いた。
主催した地元の合気道連盟代表のビャチェスラフ・サビンさん(48)によると、日本人は運営企画に関わらず。サビンさん自身も日本語は話せず、日本に行ったこともない。インターネットなどで調べて準備した。
人口30万人の街に日本人はいないが、地元住民で大盛況だったという。ロシアの片隅で、日本人が知らない日本フェスが盛り上がっていたことが不思議で、何か感動さえ覚えた。
想像以上に親日的なロシア人に対し、日本の世論調査では「ロシアに親しみを感じない」との回答が約8割。ロシアの外交官らから、日本でのイメージ向上を求められることもある。
ならば北方領土問題での強硬姿勢を改めれば、と言いたくなるが、「難しい問題に取り組むのは親しくなってから」というのがロシアの論理。なかなか相いれないが、両国民の距離を縮めようという草の根の努力は無駄にしたくない。 (栗田晃)