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プラハ 立派なデモに違和感

2020年03月19日

 旧チェコスロバキアで社会主義体制が崩壊した「ビロード革命」から30年を前に、チェコの首都プラハを訪れた。早くもクリスマスのイルミネーションに彩られた街中には、革命当時のパネル展示があった。

 当時の学生デモを企画したメンバーにパネルの写真を見せると、「ジャケットじゃなく、セーターを着ているでしょ。セーターは反体制派のシンボルだったんだ」と教えてくれた。

 その後、バビシュ首相の汚職疑惑に抗議するデモを取材した。会場の公園は30万人(主催者発表)もの参加者で埋め尽くされていた。デモを主催したのは学生らでつくる市民団体。ステージで演説した代表もセーターを着ていた。

 毛玉いっぱいの着古したセーターと対照的だったのが、デモ会場の設備。約100メートルおきに大型スクリーンが4、5台設置され、クレーンでつるされたワイヤカメラもあった。まるで野外ライブ会場のようだった。

 市民団体の活動は支持者らの寄付に支えられている。言論や表現の自由が保障されているからこそデモもできるのだが、あまりに大掛かりな設備には違和感を覚えた。 (近藤晶)