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北京 スマホ決済 落とし穴

2020年04月10日

 北京に赴任して4カ月あまり。日本での生活と明らかに変わった習慣がある。財布を持ち歩かなくなったことだ。こちらでの暮らしは、すべてがスマホを通じて行われる。買い物や食事の支払いから、タクシーやシェア自転車の利用まで。現金の支払いは敬遠されることが多い。

 友人同士で食事を割り勘にする際も、誰か一人がまとめて支払い、後で各自がスマホを使って送金するのが普通だ。銀行振り込みと違い、スマホの送金に手数料はかからず、操作も非常に簡単。日常生活で現金を使う場面は、ほとんどない。

 ただスマホに頼り切った生活には落とし穴もある。先日、休日に一人で外食に出掛けた際、食事が終わってスマホの電池が切れているのに気付いた。財布はなく、冷や汗が頬を伝う。店員に事情を説明し、あわてて自宅に財布をとりに戻った。自宅から近くだったのでよかったものの、遠方でそんな状況に陥ったら、たまらない。

 日本でも今後、キャッシュレス化が本格化するかもしれない。だが、いざというときのための現金は、身に着けていた方が無難だろう。 (坪井千隼)