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北京 現金払い限定の訳は

2023年01月07日

 知人の車で北京郊外の景勝地、十渡(じゅうと)を訪れた。岩山から飛び降りるバンジージャンプや観覧車などが設置されるなど観光地化されていたものの、少し奥まで行くとまだ手付かずの場所も多い。険しい岩山に樹木が生い茂る自然豊かな光景は見応えがあり、久しぶりにのんびりとした気分を味わうことができた。

 ただ、看板の案内もない駐車スペースに車を止めると、男性が現れて駐車料金として20元(約400円)を請求された。しかも現金しか受け付けないという。折しも郊外では現金しか使えないケースがあると聞いていたので小銭を準備していたため対応できたが、他の中国人は戸惑っていた。北京ではスマホのアプリでほとんどの支払いができるからだ。

 「備えあれば憂いなし」と喜んでいたが、どうもふに落ちない。支局スタッフに経緯を話すと、「この男性は許可なく駐車料金を請求していたのではないか。スマホ支払いだと記録が残るから」と推察。地元農民の小遣い稼ぎに乗せられたのだとしたら悔しいが、スマホに頼り切った生活を逆手に取るという中国らしいしたたかさは、まだまだ健在のようだ。 (新貝憲弘)