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ロンドン テロに冷静な人たち

2020年04月09日

 英ロンドンの金融街シティー一帯では日ごろ、パリッとしたスーツを着たビジネスマンと、世界各地から集まった観光客が行き交う。この活気ある街が11月29日には、様相が一変した。5人が死傷するテロ事件が起きたためだ。

 私が現場近くに着いたのは、事件発生の約1時間後だった。道路や駅はパトカーと規制用テープで封鎖され、騎馬隊の警察官が現場に近づかないよう大声で求めてくる。あちこちのビルからは、避難する大勢の人々が列をなして出てきた。

 ただ、地元の人たちにはどこか落ち着きを感じた。規制区域のすぐ外側のパブは大にぎわい。酔客が「気をつけて取材しろよ」と声を掛けてくる。現場近くのビルで、警察官による銃声を聞いた弁護士(39)は「自分がいる場所には危険は及ばないと感じていた」と語った。

 ロンドンではたびたびイスラム過激派などのテロが起き、この現場でも2年前にあった。「テロ発生は完全な想定外ではない」と取材に応じてくれた人は言った。私が感じた冷静さの理由が社会の危険性の認識だとしたら、複雑な気分になる。 (藤沢有哉)

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