2021年03月08日
「最近、少しずつ気分が持ち直してきまして。やっぱり、日照時間が増えてきた影響ですかね」。冬至から1カ月余りたった1月下旬、ロンドンで暮らす日本人たちとこんな会話を交わすようになった。
英国では日照時間の短さから、冬になると心の健康を損なう人が増える。特定の季節が来ると、ふさぎ込む症状などが出る病気を「季節性情動障害(SAD)」といい、精神医療団体によると、英国では毎冬、国民の3%が重いSADに苦しむ。
今冬は新型コロナウイルス禍による外出制限やストレスの影響で、新たに一時的な精神的不調に陥る人が増え、SADの症状も深刻化すると懸念された。私も昨年11月半ばから気分が落ち込むようになり、倦怠(けんたい)感もひどくなった。周りの日本人でも似た症状に悩む人が相次ぎ、改善効果があるとされる照明器具やビタミン剤、生活習慣などの情報を交換してきた。
気分が上向くと、公園で運動する回数が増した。そして、遠出への欲求も。ただ、ロンドンはロックダウン(都市封鎖)中。また、ふさぎ込まないようかなわぬ願いは考えないようにした。 (藤沢有哉)