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ニューヨーク 雪かきに懸命な理由

2021年03月11日

 自宅の窓の外をまた、雪が舞っている。ニューヨークで迎えた初めての冬。風もなく、真っすぐ下りる軽やかな結晶が街を白く染める様子は、まさに「しんしん」という言葉がふさわしい。だが、実際には「がりがりっ」という音があちこちから響く。雪かきのシャベルが路面をこすっているのだ。

 「ずいぶん熱心ですね」。外に出て、せっせと歩道の雪と格闘する男性に聞いてみた。「降り終わってからでもいいんじゃないですか」。すると男性は手を止めずに答えた。「でも早めにやらないと、訴えられるかもしれないからね」

 なんでも、歩道を歩く誰かが滑って骨折でもした場合、「隣接する家が雪かきをしていなかったせいだ」として裁判になることがあるのだという。これが訴訟大国の現実か。思えば、向かいの家は年に数回のために小型の除雪車まで持っている。

 家の中に戻っても気持ちは落ち着かない。賃貸契約には、大家が雪かきをすることになっているが、いつ来てくれるのだろう。「がりがりっ」。また音がした。この原稿を書き終えたら、まずは納戸にシャベルをとりにいこう。 (杉藤貴浩)

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