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ニューヨーク 予約満杯 必死の試験

2021年03月28日

 「次のうち、踏切前で必ず止まらなければならないものを選びなさい。(1)トラック(2)バス(3)バイク(4)上記のすべて」

 こういう問題を必死で解いたのは何年ぶりだろう。ニューヨーク市にある運輸局の一角。1問1問、タッチパネルの解答ボタンを祈るような思いで押していった。大げさな表現ではない。渡米して半年、やっとたどり着いた運転免許の筆記試験だ。

 新型コロナウイルス対策による人数制限で、運輸局の予約は常に満杯。この日の機会は、3カ月前にスマホ画面を1日中にらみ続け、やっとキャンセル枠を見つけた成果だった。ここで不合格になれば、国際免許の有効期限内にニューヨーク州の免許がとれないかもしれない。

 数分後、「はい、合格。仮免許作成代は75ドル(約8100円)」と窓口の女性。「運輸局の応対は全米屈指のそっけなさ」との定評通り、いささかの笑みも浮かべずに言われたが、支払いを求められるのがこれほどうれしいとは思わなかった。

 ちなみに、冒頭の問題の正解は(2)。やはり日本の交通事情とは勝手が違う。次の実技試験も気の抜けない戦いとなりそうだ。 (杉藤貴浩)