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パリ 不良の抗争 頭痛の種

2021年03月27日

 「目撃情報を求む」。パリ市内の自宅周辺の壁が先日、無数の張り紙で埋め尽くされた。男子中学生が集団暴行され重傷を負い、大きく報道された事件。暴行の録画映像は凄惨(せいさん)で、間近で起きたことに衝撃を受けた。

 背景には不良グループ同士の抗争があるという。被害者の少年が関係するとされるグループは直前に別のグループの少年を暴行。事件はその報復だったとみられている。その後も負の連鎖は続き、別の抗争に絡んで10代前半の男女が亡くなる事件がパリ周辺で3件も相次いだ。

 グループに所属する子どもたちの家庭は社会的な支援の枠組みから外れているケースが多いといい、自由の国フランスの暗部を見た気がするが、個人的にも気掛かりなことがある。

 自宅近くで暴行された少年が関わるグループは、9月から長男が進学を検討する公立校の生徒が中心という。事件直前に開かれた学校説明会で、校長は「問題がないわけではないが、他校よりも荒れているということはない…」と言いよどんでいた。学校全体がこうしたグループの影響下にあるわけではないと思うが、長男の進学先については少し頭が痛い。 (谷悠己)