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ソウル 公園より酒場を優先?

2021年04月17日

 ソウルの自宅近くにある公園のアスレチック遊具が昨年秋から、ビニールテープでグルグルと巻かれ、使用禁止になった。保健当局の新型コロナウイルス対策に基づくというが、多くの子どもは納得がいかなかった。

 売り上げ減にあえぐ飲食店主らのデモなどもあり、ソウルでも2月から、酒類を提供する店が午後10時まで開けるように営業制限が緩和された。酔客でにぎわう酒場もあるのに、子どもたちの身近な遊び場の開放は遅れた。わが家の小学生の娘たちも「大人は居酒屋で、おしゃべりできるのに…。子どもたちが外で自由に遊べないのは、不公平だ」と憤った。

 さらに困ったのは、3月に入っても続いた5人以上の集まり禁止の措置。違反者は最大300万ウォン(約29万円)の過料を科されるが、子どもも例外ではない。友だちと下校後に遊ぼうにも、付き添いの親を含めて最大4人しか同席できない。誰かが仲間外れにならないかと、不安が付きまとってきたという。

 韓国の与野党が来春の大統領選など大型選挙を控え、コロナ禍の経済対策を競うのは理解するが、幼い子らの悲鳴にも耳を傾けてほしい。 (相坂穣)