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中国・瀋陽 抵抗感より実利の国

2021年11月29日

 90年前の9月18日、満州事変の発端となった「柳条湖事件」が起きた遼寧省瀋陽。街の中心部にある「瀋陽駅」を訪れると、東京駅によく似た赤いレンガ造りの駅舎が立っていた。

 瀋陽駅は1910年、戦前の日本の国策会社、南満州鉄道の「奉天駅」として建設。設計者は東京駅の設計者の弟子で、同じ建築様式を採用したという。

 「瀋陽駅は中国で最も美しい駅の1つ。東京駅に似ているでしょう」。タクシー運転手は誇らしげに語る。満州事変と関わりが深い日本の国策会社が建てた駅を使い続けるのは、抵抗がないのか聞いたが、「日本が中国を侵略したのは事実だが、日本が残した素晴らしい駅舎を活用するのは当然だ」と話した。

 柳条湖事件では、瀋陽近郊に駐屯していた旧日本軍が南満州鉄道の一部を爆破。「中国軍の犯行」と装い、中国東北部を軍事占領した。

 爆破現場の隣には戦後、歴史博物館が建設された。爆破された線路は、レールこそ交換したが今も現役の鉄道として使われている。日本の侵略行為の史跡であっても、いいものなら、そのまま使い続ける。中国のしたたかさを感じた。 (坪井千隼)

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