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パリ 就活それでいいの!?

2022年01月21日

 健康づくりのため、パリの自宅近くにある40代向けスポーツクラブに加入した。申込書類を審査するクラブ役員の男性から「日本人か」と問われたのでうなずくと、唐突に「相談に乗ってほしい」と頼まれた。

 聞くと、男性の長男は3年間の日本留学から1月に帰国。語学力を生かせる就職先を探しているが、修士の学位を取っていないことがネックとなり、いまだ見つからないのだという。

 フランスの直近の完全失業率は日本の3倍近い8.1%。新型コロナウイルスが流行し始めた時よりは改善したが、若年層は高学歴でも就職難にあえぎ、無業者が約100万人いる。仏政府は今秋に対策プランを発表したばかりだが、長男のケースはその典型例のような気がした。

 同情しながら聞いていると、男性は「求人中の日本企業を知らないか?」と、徐々に前のめりに。「長男はシャイで自分からは動かないので」と、就職活動は主に知人のつてをたどっているという。「さすがにそれだけで就職するのは難しいのでは」とも言えず、求人サイトを紹介したが、コネクションが重視される仏社会の実態も垣間見えた気がした。 (谷悠己)