2022年01月20日

　米西部カリフォルニア州サンフランシスコで夕食をとっていると、近所に住んでいるという女性メアリーさん（５５）に話し掛けられた。「カリフォルニア州はとても豊かで、何でもあるのよ」

　近くのシリコンバレーに集まる巨大なＩＴ企業群や、広大なビーチといった都会的でファッショナブルな側面に目が行くが、豊かな自然に囲まれているため、実は農業もとても盛ん。作られる農産物はコメやかんきつ類など４００種類以上といわれ、販売額は５０年以上にわたって全米１位だ。

　カリフォルニアワインは知っていたが、メアリーさんは「アーモンドなどナッツ類も世界に輸出されていて、とても有名よ」と胸を張る。広い海に面しているので、サーモンやカニといった海産物でも知られる。

　「それで、何のためにここに来たの？」。メアリーさんに聞かれたので、気候変動問題を取材するためだと伝えると、表情が少し曇った。「そうねえ。干ばつに山林火災、海面上昇…。気候変動の問題も、カリフォルニアには何でもあるわねえ…」。そう言って、寂しそうに笑った。　（吉田通夫）