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ソウル 学歴主義は変わらず

2022年07月21日

 韓国で今月上旬に就任した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の取材を担当する内外メディアの記者に対し、新政権が提出を求めた申請書の内容に、驚愕(きょうがく)した。記者本人の学歴や職業歴から、配偶者や子どもの生年月日、北朝鮮在住家族の有無、所有する不動産やローンの額、親交のある人物まで、あまりに詳細な個人情報を尋ねていた。

 尹氏は就任に合わせ「青瓦台(チョンワデ)」の異名を取った大統領府を国民に開放し、執務室を郊外の国防省庁舎に移した。国民とのコミュニケーションを増やすため、記者会見を頻繁に開くことを公約に掲げる。尹氏の警護上、記者の個人情報が必要との説明だったが、韓国メディアからも反発が出て、不動産や債務などに関する質問は取り下げられた。

 だが、出身大学や高校に関する質問は、かたくなに残された。「教育格差を解消すべき政府が、大学名をしつこく聞くなんて…。最近は、民間企業の採用試験でも、聞かなくなってきている」。韓国紙の30代男性記者は嘆いた。政権交代が実現しても、韓国社会の学歴至上主義は薄れそうにはない。 (相坂穣)