2022年09月07日
膨大な量の水が50メートル以上の高さを落下する迫力はすさまじい。近づくほどにのみ込まれそうな感覚に襲われ、数百メートル遠ざかっても青空に水煙が立ち込めるのが見える。カナダにある世界三大瀑布(ばくふ)の一つ、ナイアガラの滝を訪れた。
滝を望む街ナイアガラフォールズは初夏を迎え、飲食店や遊園地が盛況。新型コロナウイルスの打撃から回復しているのは喜ばしいところだが、土産物店で見かけたクマのデザインの小さなキーホルダーの値札に息をのんだ。「8ドル」
「落ち着け、ここはカナダだ」と自分に言い聞かせた。カナダドルは普段使っている米ドルより2割程度安い。「ということは、実質的には6米ドル(約800円)程度なのだ」と。いや、それでも十分高い。日本だったら、観光地とはいえ500円もしないだろう。
米国もカナダもインフレは悩みの種。観光地にとっては客の財布のひもが固くなってはコロナからの立ち直りも遅れてしまうだろう。キーホルダーは買わず、店を出て再び滝を眺めた。こんな勢いでなくてもいいから、少しは物価も下がってくれと願いながら。 (杉藤貴浩)