2022年09月08日
休日に家の前で草むしりをしていたら、隣家のアンさんに話し掛けられた。話題は自然と互いの子どもの話になる。アンさんの一人息子フィリップさんは中学生。すでに大学進学について頭を悩ませているらしい。
「大学はカナダか、私の実家のフランスに行かせようかと思うの。アメリカは授業料があまりに高すぎて」。米首都近郊のベセスダで新築の家に住み、共働きのアンさん一家でも大学の学費を捻出するのは容易なことではないという。
米国の大学の学費は世界一高いといわれ、私立大の平均授業料は年間3万ドル(約400万円)を優に超える。子を名門大に入れたい富裕層は10歳ごろから私立小学校に通わせるが、こちらの学費も年間3万ドル弱。学生ローンの返済に苦しむ若者が社会問題化するのも無理はない。
別の米国人の友人は、妻の妊娠中から子どもの大学進学を考えて寝られなくなることがあったという。「アイビーリーグ(ハーバード大などの名門私立大)に行けるのは一握りの秀才か金持ちの子だけですよ」。友人にそう言われると、名門大を見る目もちょっと違ってくる。
(浅井俊典)