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米グリーンリバー くじ引きの景品は…

2022年11月09日

 街の小さな集会場に入ると、入り口に黒光りするライフルが置かれていた。共和党のイベント取材で訪れた米西部ワイオミング州グリーンリバー。共和党だから銃規制の反対をアピールしているのかと思ったら、何とくじ引きの景品らしい。

 「大きくて怖い銃の抽選会」と書かれた説明にはこうある。「ワイオミングで造られた4300ドル(約57万円)相当のライフルが当たります。1枚20ドル。チケット販売中です」。プラスチックでできた透明の抽選箱の中には、既に100枚以上の応募券が入っていた。

 ワイオミング州は日本の総面積の約7割に匹敵する大きさで、街と街の間には広大な原野が広がる。自宅に不審者や凶暴な野生動物が侵入しても、遠く離れた警察はすぐに助けに来てくれない。身を守る手段として銃の所持が生活に根付いていて、銃がくじ引きの景品になることも珍しくないという。

 抽選会の名前の由来は、ライバル民主党のくじ引きよりも「大きくて怖い」銃がもらえるというジョークだそう。相次ぐ銃犯罪の悲劇と目の前の光景にギャップがあり過ぎて、さすがに笑えなかった。 (浅井俊典)