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北京 ゼロコロナの副産物

2022年11月30日

 「中国人は変わったと思う?」。元記者で今は政府系シンクタンクに勤める知人と会食を楽しんでいると、突然聞かれた。返答に困っていると質問の趣旨を説明してくれた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で海外からの人の出入りが大幅に減り、外国人と出会う機会そのものが減ったという。さらに経済や社会の発展や、中国を取り巻く国際社会もこの数年で大きく変わり、「自国がどのように見られているのか知りたかった」と彼女は話す。

 たわいのない問いのようだが、そこに込められた意味は重い。欧米との対立が長期化するなか、特に外国メディアとの接触を警戒する傾向は強まっている。久しぶりに再会した彼女も「本当は上司の許可がいるから、今日は友人として会っているという建前なの」と苦笑した。

 北京に留学していた30年ほど前、中国人に珍しがられたことを思い出して伝えたら、こう返された。「そうね、今は外国人を好奇の目で見ているのかもね」。ゼロコロナ政策による厳しい隔離措置がもたらした「鎖国」は、外国人との交流でも見えない壁を作っていることを実感した。 (新貝憲弘)