2023年01月24日

　「無事に開催できて良かった…」。北京で行われた日中国交正常化５０周年を祝うイベント。開会当日、企画に携わった日本人の関係者は一斉に胸をなで下ろした。１年以上前から準備してきたが、中国当局の許可が直前まで出なかったからだ。

　対米関係や台湾情勢を巡って中国側は日本に言いたいことがあるのかもしれないが、民間交流の企画が政治的な駆け引きにさらされるのは残念だ。

　会場は鉄柵で囲まれ、多くの警備員が立った。ウルトラマンショーは直前に「友好イベントにふさわしくない」などの理由で中止に。中国側も敏感な問題をはらむ日中関係の節目を無事に切り抜けたかったのだろう。だが「開催にこぎ着けることに執心するあまり、入場者に喜んでもらえる内容になったかどうか」と関係者。政治的な制約がなければ、より良い企画ができたはず、との思いがにじんだ。

　最近では「友好を口にするだけで『中国にこびている』と批判されることもある」と日本人駐在員は言う。関係が緊張する中でも両国の交流をつなぎ留めようとする人たちの努力で、日中関係は半世紀も続いてきたのだと実感する。　（白山泉）