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韓国・済州島 危うい「カカオ」依存

2023年02月12日

 済州島(チェジュド)に出張中だった10月15日、スマートフォンでよく利用するタクシー配車アプリを開こうとしたが、うまく起動しない。空港に向かう時間が迫る中「ここでは使えないのか?」と慌てた。運良く流しのタクシーを拾って事なきを得た。

 後で分かったが、サービスを提供するIT大手「カカオ」のソウル郊外のデータセンターで火災が発生し大規模な通信障害が起きていた。

 翌日も障害は続き、無料通信アプリ「カカオトーク」で画像などが送れない状態が続いた。普段の仕事でも、取材メモや政府の発表などを共有するのにカカオトークを使う。オフィスで急きょ相談し、別の通信アプリも併用することにした。

 カカオのサービスは他にもスマホの地図、個人認証、決済など多岐にわたり、社会インフラになっている。韓国メディアは市民生活への影響を連日伝え、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領も「有事の際の国家安保にも致命的な問題を引き起こす」と問題視した。

 「IT強国」と誇りながら、独占的なプラットフォーム企業のサービスに社会全体が依存している危うさを実感した数日間だった。

 (木下大資)