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ワシントン 懐も痛いよ虫歯治療

2023年02月17日

 オフィスの向かいの店で昼食を買い込み、フランスパンにかじりつくと「バキッ」という嫌な音がした。思わず口に手をあてる。前歯が折れていた。

 ワシントンに赴任する前、入念に歯の治療を済ませたはずだった。「米国の歯科治療は高いから行かない方がいい」と経験者から言われていた。渡米前の診察でも特に問題はなかった。

 それなのに恐れていたことが起きた。ステーキに骨付きチキン、ピザ。米国はかぶりつく食事が多く、歯に負担がかかっていたのかもしれない。

 自宅近くの歯科医院で治療を受けると、折れた歯をセメントでくっつけるのに300ドル(約4万4000円)。他に歯の神経を抜く必要がある虫歯も見つかった。米国で神経を抜くには専門医に頼まねばならず、2000ドル(約30万円)以上かかる。

 私の場合、自分で治療費全額を立て替えた後に日本の保険組合に請求するシステムなので、手持ちのドルでは足らず、日本から貯金を送金する事態に。先生の治療が非常に丁寧なのが救いだが、歯科医師通いはしばらく続く。異国の診察台の上で口を開けるたび、歯の大切さを痛感している。 (浅井俊典)