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タイ・サンクラブリー 閉ざされている国境

2023年02月16日

 昨年2月のクーデターで実権を握ったミャンマー国軍と、少数民族武装勢力カレン民族解放軍(KNLA)などとの戦闘が続く東部カイン州の状況を取材するため先月、国境を接するタイ中部サンクラブリーを訪れた。

 国境にはアユタヤ朝時代、ビルマ軍が侵攻ルートとして通った「スリー・パゴダ・パス」があり、3つの小さな仏塔が立つ。近くには土産物店が軒を連ねている。竹でできたおもちゃの小銃を手に取ると、ビルマ語の文字が書かれていた。

 ゲートを越えれば、すぐ向こうはミャンマーだ。タイ側からでも、黄金のパゴダやミニバイクに乗った男女が見えた。女性の頬には黄土色の伝統化粧品「タナカ」が塗られている。

 ただ、国境は閉ざされていた。国境検問所の職員に「少しだけミャンマー側へ行きたいのだけど…」と話しかけると、彼は銃を構えるそぶりを見せ、「帰って来られないぞ」と笑った。

 ミャンマー側では10月上旬、僧院が空爆され、全焼する事件が起きた。僧侶や子どもたちは数日前にタイ国境へ避難しており難を逃れたが、今も緊張が続く。国境が再び開く日はいつになるのだろう。 (藤川大樹)