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バンコク 移民労働者支える街

2023年05月09日

 今年に入りタイの首都バンコクにあるミャンマー大使館では土曜日になると、多くのミャンマー人労働者らが列を作っている。聞けば、有効期限が迫ったパスポートの更新手続きの予約券を手に入れるためだという。

 ミャンマーからの情報によると、同国国軍は最近、システム改修を理由にしてパスポートの発行・更新を一時停止すると発表した。最大都市ヤンゴンのパスポート事務所も一時的に閉鎖された。これが海外で働くミャンマー人労働者の不安をあおったようで、大使館前の行列を生むこととなった。

 先日、タイへ遊びに来た先輩記者と、外国人が多く住居を構え、バンコクの東西を貫く大動脈スクンビット通り沿いにあるレストランへ入った。注文を取りに来た女性従業員にタイ語が通じず、出身国を尋ねたら「ミャンマー」だと答えた。店にいた従業員4人のうち3人はミャンマー人だという。2人は最大都市ヤンゴン、もう1人は北部カチン州の出身だった。

 タイで暮らすミャンマー人ジャーナリストは「移民労働者がいなければ、タイの社会は成り立たない」と言うが、その言葉に納得した。 (藤川大樹)