2023年05月08日

　ソウルでは、スーパーマーケットの魚の品ぞろえが不満だった。日本から今月、妻子を呼び寄せたのを機に食材の幅を広げたくなり、初めて近くの農水産物市場へ足を運んだ。

　水産業者のブースが連なる一角で、スーパーとは比較にならない豊富な魚介類に驚いた。ただ値札が付いておらず、値段を聞いて交渉する必要がある。

　アワビはいくらかと聞くと、小さいものは４つで１万ウォン（約１０００円）という。悪くないが、「別の店では５つで１万ウォンだった」と持ちかけると「サービスだ」と言って５つになった。冷凍マグロは１キロあたり１０万ウォンと言われ、妻が「高い」と難色を示して購入を見送った。

　後日、妻が子どもの通う日本人学校のママ友に誘われ、同じ市場を訪れた。常連の彼女に紹介された店で、２００グラムほどの冷凍マグロのブロックを７０００ウォンで買えたという。物価高の中、コツさえ分かれば「もう市場でしか買えなくなる」と妻は魅力に取りつかれた様子。

　家族と暮らすと、簡単な自炊や外食で済ませていた単身赴任の時は知らなかった韓国の一面に目が向く。さらに探究を進めたい。　（木下大資）