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ラオス・ボーテン 「寝そべり族」の心情は

2023年06月01日

 旅先のラオス北部ボーテンで、2人の中国人と知り合った。広東省深圳から来た男性の葉さん(33)は、仕事や趣味で世界各地を旅行。「東南アジアで唯一来たことがなかったのがラオス。でも雲南省とあまり変わらないね」とさらり。四川省成都から来た女性の張さん(34)も「前回は欧州を旅行した。今回は3年ぶりの海外なので、近場のタイとラオスにした」と旅慣れた様子だ。

 2人とも「80後」と呼ばれる1980年代生まれの1人っ子世代で独身。中国では近年、結婚や出世を望まず、個人の生活を優先する「寝そべり族」が話題になっている。2人に「どう思う?」と尋ねると、そろって苦笑した。理由を聞くと、葉さんは「寝転ぶこともできず、頑張っても成果はない」と、はやりの言い回しで説明してくれた。

 IT関連企業に勤める葉さんが「最近の経営不振で大規模なリストラがあった」とこぼすと、不動産業の張さんも「大手の経営危機が報じられているように、こちらも大変よ」という。競争が厳しい業界で疲れた心を海外旅行で癒やす2人に、「寝そべり族」の心情を垣間見た気がした。 (新貝憲弘)