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【滋賀】藩主2人の好みの違い紹介 彦根城博物館でテーマ展

ジャンル・エリア : | 展示 | 工芸品 | 文化 | 歴史 | 芸術 | 近畿  2018年03月15日

井伊直弼が作った楽焼茶わん=彦根市の彦根城博物館で

井伊直弼が作った楽焼茶わん=彦根市の彦根城博物館で

 彦根市金亀町の彦根城博物館で、桜や柳が描かれた美術や工芸品を集めたテーマ展「柳桜をこきまぜて-柳と桜のデザイン-」が開かれている。桜と柳をそれぞれ愛した歴代彦根藩主2人の好みの違いも紹介。担当の学芸員は「展示室で桜と柳の競演を楽しんで」とPRしている。4月10日まで。

 20点を並べた展示室で際立つのは、江戸時代後期に京を中心に活躍した絵師、狩野永岳(かのうえいがく)(1790~1867年)の桜図(六曲一双)。満開の桜がダイナミックに描かれ、迫力がある。永岳は、狩野永徳の高弟、狩野山楽(さんらく)を祖とする京狩野(きょうがのう)家第9代で、彦根藩の御用絵師だった。

 彦根藩井伊家12代の直亮(なおあき)(1794~1850年)が作らせた刀装具の鐔(つば)(直径7.3センチ、厚さ0.3センチ)には、1輪の桜の花びら模様が刻まれている。

 一方、井伊家13代の直弼(なおすけ)(1815~60年)作の楽焼茶わん(口径18.1センチ、高さ9.6センチ)には味わい深い柳の絵。

 展示物だけでなく、史料も基に、井伊家当主の好みとして、直亮を桜派、直弼を柳派と考察し、2人の桜や柳との関わりや、それぞれに込めた思いも紹介した。

桜の花びらの模様が刻まれた鐔=彦根市の彦根城博物館で

桜の花びらの模様が刻まれた鐔=彦根市の彦根城博物館で

 直亮は、城の境内に2000株の桜を植樹させ、領民が楽しめる場を提供。直弼は、17歳から、藩主となる32歳までを過ごした屋敷を「柳和舎(やぎわのや)」と名付け、彦根を離れて江戸に移った際には柳の手入れを家臣に頼んだ。

 ほかに、徳川5代将軍綱吉が描いた桜樹馬図(おうじゅうまず)(縦117.2センチ、横55.8センチ)も。

 高木文恵学芸員は「直亮と直弼がそれぞれ桜と柳に抱いた並々ならぬ思いを工芸品から感じ取ってもらえたら」と話す。入館料は一般500円、小中学生250円。無休。

 (前嶋英則)