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【愛知】老舗商店街に新顔次々 豊橋「大豊ビル」、空き店舗での催し奏功

ジャンル・エリア : まちおこし | イベント | 愛知  2019年05月17日

レトロな建物を生かした「無名コーヒースタンド」。通りには新店舗と老舗が混在している=豊橋市駅前大通の大豊商店街で

レトロな建物を生かした「無名コーヒースタンド」。通りには新店舗と老舗が混在している=豊橋市駅前大通の大豊商店街で

 豊橋市駅前大通で半世紀たった今でも愛されるビル群、通称「水上ビル」。うち最も古い「大豊ビル」の商店街では今、長くシャッターが閉め切られていた空き店舗に新顔が増え始めている。背景には、家主らによる空き店舗を利用したイベントなどがあるようだ。

 駅前から800メートルに渡って背の低い建物が連なる、水上ビルの一角。大豊ビルの1階部分にあるアーケード街「大豊商店街」では、年季の入ったコンクリート造りの建物とは裏腹に、洋服店やジンジャーシロップの専門店など、こじゃれた店が顔を見せる。

 以前は空きが目立つ商店街だった。1964(昭和39)年に建てられた主に3階建ての大豊ビルでは、個人が縦割りで部屋を所有。1階を商店、2階以上を事務所や住居として利用してきた。しかし、家主は徐々に高齢化。店を畳む人が増え、20年ほど空いたままになっていた店舗もあったという。

 立ち上がったのが家主らでつくる大豊協同組合だ。2016年、空き店舗にアンティーク店や飲食店が出店するイベント「雨の日商店街」を始めた。家財置き場と化した空き店舗を家主に開けてもらいスペースをつくった上で、店を貸す体験をしてもらうのが狙い。出店者も水上ビルで店を構える体験ができる。

 始めて以降、イベント出店者を含む10店舗が相次ぎ開業。18日に開店する「無名コーヒースタンド」の店主只野麻未さん(27)は「『雨の日』出店をきっかけに、ここに店を出すという選択肢が視野に入った。周囲の方が親切にしてくれるし、レトロな雰囲気と新しい店が融合していて面白いと思った」と魅力を語る。

 一方、店舗を貸す渡辺啓子さん(68)は「只野さんと『雨の日』で知り合った店主の皆さんから事前に評判を聞き、安心できた部分もある。新しい人たちが水上ビルを選んで活躍してくれてうれしい」と話す。

 さらに周辺の再開発計画も追い風に。家賃の安さや、大通りから外れた穴場な雰囲気も一役買っているという。大豊協同組合の黒野有一郎理事長(51)は「空き店舗は眠っている街の資産。空き店舗がなくなれば街の価値は上がり、さらに空き店舗がなくなる。ようやく好循環ができてきた」と語る。

 雨の日商店街は6月22、23日と29、30日の4日間開催。今年もアンティーク店やカフェなどのべ60店超が集まる。晴天決行。

(高橋雪花)