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【三重】松阪の本居宣長記念館・地元とのつながり、企画展で紹介

ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 歴史  2022年09月21日

菅相寺に残る「天神森碑文」の拓本などが並ぶ会場

菅相寺に残る「天神森碑文」の拓本などが並ぶ会場

 松阪市殿町の本居宣長記念館は、宣長の旧宅(殿町)と旧宅跡(魚町)が国史跡に指定されて今年で100年を迎えるのに合わせ、宣長と地元・松阪のつながりを紹介する企画展「ディスカバー・宣長」を開いている。会場の105点の資料からは、宣長が学者として大成した背景には、豊かな商人であふれ、江戸や京都の情報が行き交った街の風土があったことが分かる。12月4日まで。

 現存する日本最古の歴史書「古事記」の研究に励んだ宣長は、69歳の時、自宅に設けた書斎「鈴屋(すずのや)」で注釈書「古事記伝」を書き上げた。その傍ら、街の人々を自宅に集め、「源氏物語」など古典文学について議論する「古典講釈」もライフワークとしていた。

 会場に展示されている書簡「開講の廻章(めぐらしぶみ)」は、講釈の開催を参加者に知らせる回覧板のようなもの。参加者の中には、木綿の商売で財を成した長谷川一族の名もあり、有力な商人も宣長に師事していたことが分かる。開催時刻は「夕」と書かれており、それぞれの仕事が終わった夜に集まっていた様子がうかがえる。

古典講釈の開催を知らせる「開講の廻章」=いずれも松阪市殿町の本居宣長記念館で

古典講釈の開催を知らせる「開講の廻章」=いずれも松阪市殿町の本居宣長記念館で

 街の人々との交流を大切にしていた宣長。その名残は、今も市内にある。かつて「天神ノ森」と呼ばれた同市愛宕町の菅相寺(かんしょうじ)に立つ「天神森(てんじんのもり)碑文」に刻まれた文章は、宣長が練り、門人の橘千蔭(たちばなちかげ)が書いた。宣長は同寺で歌会や宴(うたげ)を開くなど、ゆかりが深かったという。会場には、碑文を写した「拓本」が展示されている。

 学芸員の井田ももさんは「宣長は商人のまちに支えられ、地元の人たちとの関わりの中で成長していった」と話す。

 10月15日と11月19日には展示説明会がある。いずれも午前11時から。期間中は、市内の宣長ゆかりの地などを紹介する冊子「宣長さがし」を無料で配布する。

 入館料は大人400円、大学生300円、小人(小学4年~高校生)200円。午前9時~午後5時。月曜(祝日の場合は翌平日)休館。(問)本居宣長記念館=0598(21)0312

 (望月海希)