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【石川】独学「顔」木彫り 宝達志水・山元さん制作

ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 石川 | 芸術  2022年09月26日

作業場の外壁に並んだ木彫りの顔=宝達志水町中野で

作業場の外壁に並んだ木彫りの顔=宝達志水町中野で

壊れた作品 まきに利用も

 宝達志水町中野の山元忠治さん(85)は、趣味でまきストーブ用の材木を使い木彫りに取り組んでいる。材料はキリやサカキ、杉などさまざまだが、作るのはすべて顔。「木を見ると顔が浮かんできて彫りたくなる」と話す。(松村裕子)

 金沢美術工芸大で彫塑を学んだが、木彫りは独学。少年院の法務教官として勤めていた間も「何か作りたい」と官舎でほそぼそと小物の木彫りをしていた。定年後、出身地の同町に戻り、退職金で官舎より広い作業場を造ってから制作を本格化。もうひとつの趣味だった釣りを年をとって危険なためやめた今は、木彫りにかける時間が増えている。

 自宅や作業場の内外に並べた作品は仏様や外国人の顔などさまざま。「人の顔を見るのが好き。顔は作りやすい」と言い、「暇つぶしだが、気持ちが落ち着く」。気が向くと没頭し、月に1点ほど仕上げる。

 まきストーブ用に自分の山から切り出したり譲り受けたりした丸太などを活用し、古くなったり壊れたりした作品はまきにできるというエコな制作活動。自宅や作業場の外壁に並ぶ顔を「毎日見て話しかけたり話しかけられたり」して楽しんでいる。

 最新作は兵庫県加西市の羅漢寺にある多数の石仏、五百羅漢からイメージした高さ1メートルほどの大作。まき用の直径20センチほどの丸太に、1カ月がかりで、手を合わせている姿を立体的に彫った。近くには新名所のイチョウ並木があり、「観光客が立ち寄って見てくれるかも」と並木から近い県道沿いの畑に設置した。目下、もう1体、類似の作品も制作中だ。