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【岐阜】家康の政治力、幅広く解き明かす 5日から関ケ原古戦場記念館で企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 歴史  2023年10月04日

国指定重要文化財の駿河版銅活字(奥の箱)と木版活字の印刷物=関ケ原町の岐阜関ケ原古戦場記念館で

国指定重要文化財の駿河版銅活字(奥の箱)と木版活字の印刷物=関ケ原町の岐阜関ケ原古戦場記念館で

 印刷物を通して軍事力だけではない家康の政治力を解き明かす企画展「家康-関ケ原がつくった英傑」が5日から岐阜関ケ原古戦場記念館(関ケ原町)で始まる。11月26日まで。

 「家康は合戦前から天下を取った後のことを考えていた」と話すのは記念館の鵜飼裕紀学芸員。会場には、家康が合戦の1年ほど前から注力した印刷事業の成果が並び、合戦後のメディア戦略まで考えていたことが見えてくる。

 木版活字を使った中国の思想書や兵法書。実際に使われた銅活字の「駿河版銅活字」は国指定重要文化財となっている。鵜飼さんは「家康は広く教養を広めることと、自分の功績を紙で多く残して、統治をしやすくするために出版事業に力を入れた」と話す。

 家康のメディア戦略は死後により強く表れる。記念館所蔵で初公開の「東照大権現像」は神として描かれた家康の肖像画。展示文書でも家康は「権現様」と書かれている。印刷物を通して功績を広く知らしめた家康。鵜飼さんは、日本の歴史で「メディア戦略に初めて力をいれたのが家康では」と推測。「最後には神にまでなった。合戦に勝ったことだけではなく、家康の政治力までわかるのが展示の魅力」と語る。

 展示ではほかに家康が側近に貸し与えた具足1領を展示。かつては16領あったとされるが、現在残るのは展示品を含む4領だけ。大阪城天守閣で保管されているものを取り寄せた。

 企画展開催中は特別料金で一般800円、大学高校生600円。中学生以下無料。休館日は、10月7日と月曜(祝日の場合は翌平日)。

 (甲斐崎颯斗)