ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | 特産 2024年02月09日
伊勢市本町の伊勢神宮外宮参道にある1916(大正5)年創業の「大山真珠店」が昨年12月、新装開店した。新設の喫茶スペースでは、真珠の粉末を使ったオリジナルの地ビール「私はほぼクレオパトラ」(1000円)を提供。こだわりの宝飾品も多数取りそろえていて、見ても飲んでも真珠を楽しめる店になった。
喫茶スペースは参道に面した大きな窓から光が差し込み、開放的でモダンな雰囲気。6席を備えたカウンターで外国産のワインやコーヒー、パンなどの軽食も楽しめる。もともとはアクセサリーを陳列していた販売スペースだったが、それを店舗奥に移設して飲食ができるようにした。
取締役の大山智さん(40)は「店に真珠を見に来る若い人が増えたのがうれしい。『ちょっとお茶でも』と来店できるようになったからだろう」と手応えを語る。
志摩市で真珠の養殖業を営んでいた大山さんの曽祖父が、神宮の参拝客に販路を求めて開いた店。現在は加工から販売までを手がけ、参道の店舗のほか、ネット通販や首都圏を中心とした大手百貨店でも商品を取り扱っている。高品質な真珠を安価で買えるのが売りだ。
大山さんは名古屋市の不動産会社での勤務を経て、8年ほど前から父が代表を務める店の経営に携わる。アクセサリーに使えない規格外の真珠や、真珠を取り除いた後の貝殻が大量に廃棄されていることに問題意識を持った。「宝飾品以外の形で真珠を活用できないか」。地域に人が集まる場所をつくりたいとの思いもあり、喫茶スペースを設けて、真珠の粉末を使ったメニューを提供することを思いついた。
大阪市のビール会社に特注して作った地ビールは、そんなオリジナルメニューの第一弾。「真珠層」と呼ばれる真珠や貝殻内側の輝いている部分を砕いて作った粉末は無味無臭で、ビール自体はくせがなく、飲みやすい味わいに仕上がった。商品名の元になったクレオパトラは、真珠を酒に溶かして飲んだという伝説がある。
現在のところ店舗内でしか飲めないが、いずれ酒類販売免許を得て、お土産として販売できるようにするという。
大山さんには、アイスクリームなど、真珠の粉末を使った次なる新商品を開発する計画がある。「一つの真珠を作るのに約4年の時間と手間がかかる。どの真珠も無駄にすることなく、宝飾品以外の商品として生かすことで、業界の役に立ちたい」と話している。
営業は午前9時~午後5時。不定休。(問)同店=0596(24)2921
(清水大輔)