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釜山 命の重さ 同じなのに

2009年12月12日

 日本人観光客ら16人が死傷した韓国南部・釜山の室内射撃場火災。発生翌日に九州から駆け付けた遺族を追いかけながら、複雑な気持ちになった。

 遺体を安置した大学病院併設の葬祭式場。日本人遺族が確認のため控室から別室に向かうたび、記者団が後についた。メディアスクラムの一員になる一方、韓国人遺族の控室が近くにあることに気付いた。しかし、目を向ける記者は自分を含めて多くなかった。

 後日、通信社の報道で女性観光ガイド(65)の遺族の声を知った。悲しみに暮れる最中に入院費など約2600万ウォン(200万円)を病院側から請求されたという。韓国政府が日本人遺族を丁重に扱うことに理解を示しながら、息子(37)は「韓国人犠牲者や遺族は相対的に大事に扱われていないようで残念だ」と話した。

 死亡13人のうち韓国人は5人だ。命の重さは国によって違いはない、とあらためて思う。 (築山英司)