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サヌア 拉致犯に三分の義理

2010年01月05日

 「車を取りに来るよう日本大使館に伝えてほしい。おれたちは泥棒じゃないんだ」

 イエメンの首都サヌア近郊で拉致された日本人技術者が解放された後、助手の携帯電話に犯人の男が電話してきた。解放前に電話取材した縁を頼ってきたらしい。事件当時に日本人技術者が乗っていた車は現場に放置されたままで、男は「犯人一家は車も奪った」と周囲に勘違いされたくないのだという。

 泥棒の汚名に耐えられぬなら、最初から拉致するなよと言いたくなるが、犯人一家は車を見張っているという。妙に義理堅い。

 みな腰の前に刀を差していて、日本の時代劇に出てきそうな雰囲気のイエメンの男たち。一家の誇りが傷つく汚名をそそごうとする執念も、分からなくはない。

 その後、日本人技術者の同僚であるイエメン人が車を取りに行くと「お茶でも」と歓迎されたという。わが助手には「協力に感謝する」とていねいな電話があった。 (内田康)

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