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メーホンソン 苦さ染みる国境の味

2010年05月10日

 タイ・メーホンソン県の市街地からくねった山道を車で2時間走ると、ミャンマー国境の湖畔の村に着いた。粘土造りの家の軒先には赤いちょうちんがぶら下がり漢字もあふれている。聞けば、第二次大戦後、中国の内戦で共産党軍に敗れ、逃走した国民党軍の末裔(まつえい)らが今も暮らす。

 村の名はバーン・タイ・ラック(タイを愛する村)。地元メディアによると、村の命名は現国王夫妻。村人たちは1970年代に押し寄せた共産化の防波堤となり、その功績でタイの姓を与えられた人もいたという。

 名産の茶や中国料理を堪能しようと食堂に入った。ところが、注文を取りに来た中年女性は、ミャンマーの少数民族シャン人。幼いころ家族でタイに逃れたという。まだタイ語を話せない若い男性従業員もいた。

 いつの時代にも国境地帯にはよくある話かもしれないが、タイを愛する村の「雲南飯店」で、シャン人が入れてくれたお茶は、ほろ苦かった。

 (林浩樹)

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