2011年03月17日
爆音とともに、夜空を閃光(せんこう)が走った。地響きの中、自宅マンションの窓を火玉がたたいた。次の瞬間、向かいのビル屋上から炎が上がった。
紛争地ではない。いたって平穏な上海でのことだ。春節を迎えた3日午前0時。魔よけの爆竹と花火が一斉にはぜた。
中国では、その爆竹と花火が社会問題化している。ビルの高層化が進んだが、市民が構わず花火を打ち上げるため、火災が頻発している。
都市部では、春節前後だけで数百件の火災が起きる。上海市も都心を花火禁止地域に指定しているが、効果はないようだ。
「青年報」という新聞社も入る自宅向かいのビルは、屋上の鉢植えとごみが焼けただけで何とか難を逃れた。
農村部では、肥だめにたまったガスに爆竹が引火し、新年早々に地獄絵図と化すお宅もあるとか。
騒ぎが収まり、眠りについたのは、午前3時ごろだった。 (今村太郎)