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米・セーラム 実は明るい魔女の町

2014年03月27日

 1回レッテルを貼られると、それをはがすのは難しい。米北東部の港町セーラムには「魔女裁判の町」というレッテルがべったりと貼りつけられている。かつて200人近くが魔女と指さされ、監獄と拷問の苦しみを経て19人が処刑された。

 実際の舞台は市外の近郊地域だし、もはや300年以上昔の話だ。それでも、セーラムと魔女のイメージは分かち難く結び付き、「魔女の町」を目指して大勢の観光客が押し寄せる。夜霧が薄暗い通りを漂えば、期待にたがわぬおどろおどろしさを味わえる。

 だが早朝、住宅街をジョギングしてみたら、このレッテルがあっけなくはがれ落ちていった。道のあちこちから笑顔とともに「おはよう」の声が飛んでくる。道端でコーヒーを飲んでいた男性には「遅すぎる。もっとペースを上げろ。気合を入れていけ」と活を入れられた。まるでクラブ活動のコーチだ。

 早起きしたことで、ほの暗い「魔女の町」は、人懐っこい田舎町に変わった。この時間がなかったら、町の印象は違ったもので終わっていた。魔女もいいが、旅先で出会うのはやはり人間がいい。 (吉枝道生)

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