2023年02月24日

　大型ハリケーン「イアン」が９月下旬に米南部フロリダ州を襲ってから、１カ月以上がたった。上陸した州西部の海沿いの街は壊滅状態で、内陸部でも多くの家は屋根がビニールシートで覆われたまま。生々しい爪痕が至る所に残る。

　上陸地点に近いケープ・コーラルの牧師コーリー・デメルさん（４２）は一時避難していて無事だったが、戻った街は樹木が倒れ、家屋の屋根は飛び、停電して暗かった。「ゾンビ映画のワンシーンのようだった」と振り返る。

　「これを見て」と、デメルさんが携帯電話を差し出した。画面には、イアンと、２００４年にフロリダ州を襲った「史上最強のひとつ」とされるハリケーン「チャーリー」の大きさを比較した合成写真が映し出されている。イアンの目の中に、チャーリーがすっぽりと収まっていた。海面水温の上昇からか、ハリケーンは強大化している。

　復興には膨大な時間とコストがかかる。気候変動問題で人類にのしかかる負担だ。デメルさんは「われわれも、子どもたちも、この問題に取り組み続けなければならないだろう」と語った。　（吉田通夫）